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みんなの受験体験談

日常会話に不自由しなくなってしまうと・・・

鹿島 恵子 声楽家 活水女子大学音楽学部元教授
第35回2012年秋季 1級合格Le Ali 17号

私は'72年から'73年まで伊政府給費生としてミラノのヴェルディ音楽院に留学、その後ミラノを中心にイタリア国内を始めヨーロッパ各地で演奏活動をし、'94年に帰国しました。帰国して20年近くもたつと、よく知っている筈の言葉がすぐには出て来なくなることもしばしばで、いつも学生さん達には「歌詞がよく理解できるようにイタリア語を頑張りなさいね」などと言っている手前、自分がこれでは困る、と思いイタリア語を勉強し直すつもりで2011年に2級を、昨年は1級に挑戦しました。

さて、言葉はその国に長く住んだからといっても必ずしもその長さに比例して上達するものではないと思います。私の場合がまさにその通りで、最初こそ努力しましたが日常会話に不自由しなくなってしまうと、面倒臭さも手伝って敢えてそれ以上意識的に勉強はしませんでした。まして私は音楽の場で仕事をしていましたので、楽語は万国共通、当然語彙の幅も広がらないままでした。

むしろ学生時代のほうがイタリア語に真剣に向き合っていたような気がします。生活しながら何となく a orecchio で覚えていった言葉というのは話す分には支障がありませんが、いざ書く、となると全く頼りないものです。住んでいた時のように周りの誰かに文章を直してもらうこともできず、最近はイタリアの友人たちとの短いメールのやり取りにも四苦八苦して、もどかしさを感じています。

受験の際は"イタリア語検定突破2級、3級"を参考にしましたが、豊富な例文とともに間違いやすい箇所が丁寧に説明されてあり、とても役立ちました。しかし1級はさすがに難しく、筆記試験は合格はしたものの、基本的な文法力不足のため結果は今ひとつでした。

口頭試験は和やかな雰囲気の中で、久しぶりに友人とおしゃべりをしているようで楽しいひと時でした。また、試験官の先生から「話していることを時々書いてみるように」、との貴重なご助言を頂きました。確かに書いてみると間違いがよくわかります。

ミラノには20代から40代を一緒に活動した音楽仲間や家族のようにおつきあいをした友人たちがいます。近い将来時間の余裕ができたら、またゆっくり会いたいと思っています。その時、もっと自由にイタリア語を使いこなせるよう、これからは耳だけでなく手も動かしながら、勉強を続けたいと思います。

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