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検定対策コラム

直説法攻略で準2級対策

Le Ali 25号

 多くの受験者の要望により2013年3月(第36回)に新設された準2級は第44回までで延べ2,093人が受験し、698人が合格しています。

 「2級を何度も受けてきたけれど、一向に受からない……」といった方々が、準2級に合格し、その弾みで再び2級にチャレンジする意欲を持っていただければ当協会事務局も嬉しい限りです。しかし、3級を突破したばかりの受験者にとっては、準2級も新たに学ぶ文法が多く、目の前に立ちはだかる壁であることは変わらないかもしれません。

 実際、「準2級は対策本がないので何を勉強したらよいかわからない」といった声も良く聞かれます。そこで今回の検定対策コラムでは準2級の傾向と対策について触れたいと思います。

 3級では直説法に加えて、命令法や条件法といった新たな法が出題されています。「ということは直説法はこれで終わりなのかな?」と思われがちですが、準2級ではもうワンステップ上の様々な直説法の使い方が問われています。

 その直説法の用法の一つに「先立未来(futuro anteriore)」と呼ばれるものがあります。3級を合格している方は、もちろん知っていますよね?

 未来のある時期より前に完了してしまっている行為などを表す用法で、助動詞のavereまたはessereの未来形+過去分詞の形にし、dopo che、quando、appenaなどと共に用います。

Dopo che avrò passato qualche giorno al mare, tornerò in città.
「数日間海で過ごしたら、街に戻るでしょう」
Usciremo appena avrà smesso di piovere.
「雨がやんだら、出かけましょう」

 ただ、会話では、上記の用法で「先立未来」の代わりに「単純未来(futuro semplice)」が用いられる傾向が強まっています。

Usciremo appena smetterà di piovere.
(意味はもちろん変わりません)

 前述の用法に代わって、会話で一般的に用いられている「先立未来」の用法が、「過去の行為において、推量・疑念などを示す」ものです。「先立未来」という言葉に惑わされてしまいがちですが、ここでは未来ではなく過去の意味になり「…だったのだろう」というような訳になります。

- Sai per caso dov'è il mio portafoglio?
- Non ne ho idea. L'______ lasciato nei pantaloni che portavi ieri.

a) avrai b) avresti c) abbia d) avessi

「ひょっとして、僕の財布がどこにあるか知ってる?」「そんなこと見当もつかないわ。昨日はいていたズボンに入れっぱなしにしたんでしょう」

2015年春  N38【正答率17.5%】

La settimana scorsa a Venezia faceva piuttosto freddo, ci ______ quattro o cinque gradi al massimo.

a) saranno b) sarebbero c) siano stati d) saranno stati

「先週ヴェネツィアはかなり寒かった。せいぜい4度か5度だっただろう」

2015年秋  N30【正答率51.6%】

 正解は前者がa後者がdで、いずれも「過去の推量」を意味しています。

 準2級ではこの「過去の推量を示す『先立未来』」を問う問題がこれまで何度か出題されていますが、決して正答率が高い問題とはいえません。この用法は、初級・中級の文法書には掲載していないことが多く、準2級以上を目指す受験者の方々がもしこのような文法書をお使いでしたら、上級者向けの文法書に切り替えることをお勧めします。

◆お薦めの上級者向け文法書◆

『現代イタリア文法』 白水社 坂本 鉄男著
『これならわかるイタリア語文法 入門から上級まで』 NHK出版 武田 好著
『本気で学ぶ中・上級イタリア語 CD BOOK』 ベレ出版 本多 孝昭著

 準2級では、このほか「要求を和らげて表現する『半過去』」など3級までには見られなかった直説法の用法が多く出題されています。「遠過去」といった新たな時制も出てくるので、先ずはしっかりと直説法全体を見直すことが準2級合格への一歩につながるのではないでしょうか。

 動詞の法の入り口である直説法といえども侮るなかれ。その使い方はとても奥深いのです。

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