検定対策コラム
3級作文対策
- Le Ali 26号
3級には、記述式問題、すなわち作文問題が出題されます。実用イタリア語検定試験では、4・5級までリスニングと文法・長文問題に限られ、ただマークシートを塗りつぶすだけでしたが、3級で初めてイタリア語を文字として書き綴ることになり、リスニングや文法・長文問題とは異なる対策が必要とされます。第32回までは、3級の作文にも合格基準が設定されていました。このため、「総合得点では基準点に達したが、作文で基準点に達せず、合格できなかった」などという落胆の声も少なくなかったようです。第33回以降は、作文問題も筆記に組み込まれたため、作文を苦手としていた人にとっては、嬉しい改変になったことでしょう。ただ、試験後のアンケート結果を見ると、「作文が難しい!」という声が依然として多く、改変後も多くの人たちにとって作文が"鬼門"であることは変わらないようです。そこで今回は、作文にスポットを当てて、対策を考えてみたいと思います。
「過去の問題を見ると、42回では、「過去形」で、第43回では、「現在形」で記述することが明示されています。いずれもイラストを見て描写する形式が採用されていますが、前者は時系列に9枚の絵から、後者は1枚の絵からイラストを説明する能力が問われています。模範解答を見て、まず分かるのが、それほど難しい単語や文法を用いて描写されていないことです。読むだけでしたら4級合格者でも十分に理解できるレベルでしょう。
先ずは42回分。真っ先に目に飛び込んでくるのが、再帰動詞ですね【1】。svegliarsi(目が覚める)、vestirsi(服を着る)、lavarsi i denti(自分の歯を磨く)、pettinarsi(櫛で髪をとかす)、prepararsi(支度をする)と再帰動詞は5つも使用されています。そのほか、mettersi(服を着る)、addormentarsi(眠る)などと基本的な再帰動詞の現在形、近過去の活用はしっかりと書けるようにする必要があります。「朝起きて、身支度をする」または「就寝前」ような描写を説明する場合は、再帰動詞の使用は確実に求められます。
第42回
“Domenica scorsa Stefania .....” Guardate le illustrazioni e raccontate la storia usando il passato. (Dalle 80 alle 100 parole)
Domenica scorsa Stefania 【1】si è svegliata alle otto. È andata in bagno, ha fatto la doccia e dopo è andata in cucina per fare colazione. Mentre 【2】beveva il suo caffè, ha controllato come tutte le mattine la posta elettronica sul suo computer. Poi 【1】si è vestita, 【1】si è lavata i denti, 【1】si è pettinata e 【1】si è preparata per uscire. Ha messo in un borsone tutto quello che le 【2】serviva, ha preso la macchina ed è andata in piscina. Ha nuotato per almeno un’ora. Dopo è andata a pranzo dai suoi genitori, che abitano in campagna. (100 parole)
また、近過去だけではなく半過去【2】も使われている点に注意が必要です。Mentre beveva il suo caffèは「彼女は自分のコーヒーを飲んでいる間」、tutto quello che le serviva「彼女に必要だった全てのもの」は半過去で示されています。近過去と半過去の区別をしっかりと学習しておかなければなりません。
一方、第43回は、現在形が指定されています。直説法現在形のほか、ジェルンディオの進行形【3】も使われているのが見て取れます。【3】stanno cercandoとsta ascoltando。前者は主語が3人称複数、後者は3人称単数ですね。ジェルンディオの進行形は、活用させたstareにジェルンディオ現在を加えるだけとそれほど難しくはありませんが、bereやdire動詞のように特殊な形に変化する形を覚えておかなければなりません(bevendo、dicendo)。
第43回
Alla stazione. Descrivere l’illustrazione usando il tempo presente. (Dalle 80 alle 100 parole)
Oggi alla stazione ci sono tante persone. Sono le dieci di mattina e il tempo è molto bello. Sulla sinistra due ragazze eleganti 【3】stanno cercando informazioni su internet con i telefonini per decidere dove andare. Un signore con gli occhiali legge il giornale seduto su una panchina. Accanto a lui il suo cane vuole qualcosa da mangiare. Alla loro destra una signora e sua figlia parlano del loro viaggio. Sembrano felici. C’è anche un ragazzo alto che 【3】sta ascoltando la musica.
以上のほか、関係代名詞を使ったり、名詞を過去分詞で形容したりと様々なテクニックを文章に散りばめることが求められますが、何よりも大切なことはスペルを間違わないこと。特に、私たち日本人は、bとv、lとrを混同しがちです。これらをしっかりと区別して書けるように準備をしておくべきです。3級の解答を見ると、中にはイタリア語を書いたことが無いように見受けられるものもあります。先ずは、過去の問題を例にして、書いてみること。できれば実際の試験を想定して鉛筆で書きましょう。はじめは、分からない単語は辞書を引いて、時間に制限を設けずに書くのも良いでしょう。そして、できればネイティブの先生にチェックをしてもらい、間違った部分をしっかりと見直すことが大切です。チェックしてもらえるような人が身近にいないという方は、語学学校に添削コースもあるので、活用してみてはいかがでしょうか。