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検定対策コラム

様々な受動態をマスターしよう

Le Ali 36号

今回は、動詞の受動態について解説します。受動態をつくるには、必ず他動詞の動詞を用います。自動詞は、受動態をつくれないので、他動詞と自動詞を区別できるようにしなければなりません。

[能動態] Leonardo ama Sofia.
「レオナルドはソフィーアを愛している」

[受動態] Sofia è amata da Leonardo.
「ソフィーアはレオナルドによって愛されている」

助動詞には、essereを用い、過去分詞は性と数に一致します。

〈直説法現在〉 I professori sono rispettati dagli studenti.
「先生たちは、生徒たちに尊敬されている」

②venireを助動詞に用いることもできますが、ルールがあります。venireは、単純時制にだけ使用され、複合時制には用いられません。

〈54回 2022年春季 準2級 N 38〉

- L’autobus per la stazione sarebbe dovuto passare già mezz’ora fa, ma ancora non si vede!
- Guardi, signora, che la fermata del 40 ______ spostata in via Ameli.

  a) hanno    b) era    c) è stata    d) è venuta

「駅行きのバスは既に30分前にここを通るはずだったのですが、まだその姿が見えません!」
「あの、奥さま、40番の停留所はアメーリ通りに移動されましたよ」

上記の問題も、venireを助動詞に使用するルールに従って、d) è venutaは複合時制には使えません。essereを使った受動態の近過去、c) è stataが正解です。

また、venireは、過去分詞が、「状態を表す形容詞」でなく、「受動的な動作の過去分詞」であることを明確にするために、essereの代わりに用いられます。


La finestra è aperta ogni mattina.
「窓は毎朝開いている」

この場合のapertaは形容詞です。ただし、「動作主のda ...があれば、「受動的な動作の過去分詞」となります。


La finestra è aperta da mio padre ogni mattina.
「窓は私の父によって毎朝開けられる」

La finestra viene aperta ogni mattina.
「窓は毎朝開けられる」

この場合のapertaはaprireの過去分詞。venireは、動作主da ...がなくても、「受動的な動作の過去分詞」であることが明確となります。

③助動詞を使わず、3人称単数・複数の他動詞と代名詞のsiを使って、受動態を表すこともできます。

In Italia si mangia tanta pasta.[単数形]
「イタリアではたくさんのパスタが食べられる」

In Italia si mangiano tantissimi dolci.[複数形]
「イタリアではとてもたくさんのドルチェが食べられる」

〈47回 2018年秋季 準2級 N 37〉

Da qui ______ può ammirare un paesaggio molto bello.

 a) lo    b) le    c) si    d) ne

「ここから、とても美しい景色を眺める(景色が眺められる)ことができます」

受動の代名詞c) siを入れると、「景色が眺められる」という受動態の文になります。

なお、siを用いた受動態にもルールがあり、特定の動作主を示さず、漠然とした一般的な事柄を表します。

〔誤〕Questo libro si legge da lui.上記のように、特定の動作主を用いて使うことはできません。

〔正〕Questo libro si legge da tutti.
「この本はみんなによって読まれる」

のように、動作主を示していても、da tutti「みんなによって」と特定の人物を示さない場合には、da …を用いることができます。(下記"※注"参照)

④andareを用いた過去分詞もあります。意味は「……されなければならない」です。venireと同様に、単純時制にしか用いることはできません。

I professori vanno rispettati.
「先生たちは、尊敬されるべきだ」

dovereを使って、以下のように言い換えることができます。

I professori devono essere rispettati.

ただし、andare + 過去分詞は、動作主を伴うことはできず、動作主を示したいときは、dovereを使います。

〔誤〕I professori vanno rispettati dagli studenti.

〔正〕I professori devono essere rispettati dagli studenti.

なお、distruggere、perdere、disperdere、smarrire、sprecareといった「消滅」「紛失」「浪費」などを意味する動詞の過去分詞と一緒に用いられるときは、essere + 過去分詞と同じく、「……される」という意味になり、複合時制も可能となります。

Quel patrimonio mondiale è andato distrutto durante la Seconda guerra mondiale.
「その世界遺産は第二次世界大戦中に破壊されてしまった」

このコラムを会報紙"Le Ali"で発行した際には掲載していませんでしたが、以下のフレーズを参考として追加いたします。

間接代名詞を用いた受動態

a) Il matrimonio le è stato imposto dai genitori.
「結婚は両親によって彼女に押し付けられた」

= I genitori le hanno imposto il matrimonio.
「両親は彼女に結婚を押し付けた」

= Il matrimonio gliel'hanno imposto i genitori.
gliel = glielo「彼女に結婚を」 glie= le, lo = matrimonio
「結婚を彼女に両親が押し付けた」

b) Questa storia mi è stata raccontata da Mario.
「この話はマリオによって私に語られた」

= Mario mi ha raccontato questa storia.
「マリオは私にこの話を語った」

= Questa storia me l'ha raccontata Mario.
l'ha, l' = la = Questa storia
「この話を私にマリオが語った」

※注:複数の著名イタリア語識者から、人称代名詞のsi + 他動詞 に、"da tutti"を用いることは、「誤った使い方」との指摘がありました。ただ、ウェブ上のイタリア語情報サイトには si + 他動詞 に、"da tutti"が用いられた例文が掲示されているほか、国内の一部文法書でも、受動態を作る際、人称代名詞の si + 他動詞には、"da tutti"を用いることができる、との解説があることから、現在では意見が分かれる用法であるとさせていただきます。

(解説:Le Ali編集部)

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