みんなの受験体験談
検定は最強の伴走者
- 柴田 陽子
- 第37回2013年秋季 2級合格Le Ali 20号
もしも自分が検定を受けていなかったら今頃は…と思う。「試験を受けるからこそ人は勉強するものよ」日本語の検定に取り組むイタリア人の友人のこの言葉が私の決意を固めてくれた。同じ所をぐるぐる回るだけでは若い頃の失敗を繰り返すだけだとの忸怩たる思いがあり、若い頃大好きだったドイツ語をきちんと身につけられぬままスペイン語やイタリア語に夢中になり、このままではただ彷徨い続けるだけで終わるという危機感があった。
7年をかけて臨んだ実用イタリア語検定2級。イタリア留学はわずか1週間で50代半ばの私は、中断しながらも4級から伊検を受け続けてきた。NHK講座はもとより自分の運営するサークルのレッスン、引き続き語学学校に週1回通い、並行して37冊の様々なレベルの問題集と過去問を何度もやり、とうとう最後はそれでも点数が届かず検定2級対策通信講座を受けた。シビアに点数が出ることで実力を測れる検定は最強の伴走者でありバロメーターだ。最初から検定を視野に入れているのといないのとではやがて雲泥の差が出てくる、だからなるべく早くから下の級からでも受け始めた方がいいと強く思う。
特に難関の作文は、うろ覚えのままでは正確には書けないため、語尾変化や前置詞との組み合わせやアクセントまで必死に覚えてたくさん書き、たくさん添削していただいた。聞き取りはとても早いため、準2級の時は家では落ち着いて聞き取れても本番ではすっかりあがってしまい失敗、それを教訓に話し手の声も覚える程CDを何度も聞き語彙を増やした。語彙が増えればその分楽になり、文法が分かればスーッと文章が頭に入る。会話力・聞き取り力は留学された方には到底及ばないが、それでも多くのチャンスを捉えてひたすら貪欲にイタリア人と喋り、イタリア語を使うチャンスを自ら積極的に作った。年齢から記憶力も減退しており、恥ずかしい程何度も何度も辞書を引きつつ、ブルドーザーのように日本で毎日毎日勉強し続けた。あぁ、若い頃からこうしていればよかったのだ。
春の準2級には1点差で落ちたが秋の2級一次にはぎりぎり合格でき、続く二次試験は手持ちの過去問13冊のテーマをすべてリストアップして15分喋れるように練習、そうして受けた二次対策プライベートレッスンでは要求されるレベルが徐々に高くなり悔いのないレッスンを受け、二次試験では留学された方達と並んで平均点が取れ本当に嬉しかった。
一次の結果を待つ間は精神的にきつく「もしかしたら作文で落ちてるかも」と思うと涙が出てきて困った。それ程真剣で死にもの狂いだった。伊検2級合格は人生の宝物であり次のステップに進む切符なのだと思う。検定はそして受かってからが実は勝負でもあると気付いた。たゆまぬ努力と情熱は夢が叶った後も決して失ってはならないのだと。