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中学で芽生えた“イタリア愛”を

M.N.
2016年43回3級合格Le Ali 38号

 中学の卒業文集に私の将来の夢は、30歳でイタリアに住みイタリア人と結婚することと書いたのを思い出した。全く意図していなかったが運命なのか30歳前後でイタリアに留学し、本当にイタリア人と結婚した。

 20代の時、母とイタリアに旅行した際フィレンツェのミケランジェロ広場からタ方のドゥオーモのクーボラを見た。その瞬間私はこの街に恋をしてしまった。ここに住みたい!
これが私とイタリアとの出会いである。

 帰国後、イタリアに住むことばかり考えるようになった私は、早速イタリア語を学び始めた。レッスンは楽しくて楽しくて回を重ねるごとにイタリアに近づいている気分になっていった。それまで勉強なんてしてこなかった私だったが、ほとんどイタリア語が身についてないままローマの語学学校に1年間の留学を決めた。「現地に行けば何とかなるよ」と言われたことを真に受けて日本を後にしたが、大間違い。語学学校初日に受けた簡単な実力テストは散々な結果だった。筆記の後はオラーレ(口述試験)だったが、結果はA2、一番下のクラスに人ることになった。

 レッスンに通って勉強を続けて耳がイタリア語に慣れてきたと感じたのは、3か月が経ってからだと思う。知っている単語だと勝手に耳が日本語に変換してくれるようになっていた。継続はカなりとは本当だなと実感した。

 イタリア人は陽気で温かい人が多いように思う。買い物に行ったとき1ユーロが足りず困っていた私に「私の1ユーロがあれば、解決するんじゃない?」と見ず知らずの私を助けてくれた人や普段よく行く店で顔なじみになると世間話しをしてくれるようになったり、街で偶然出会ったら向こうから話しかけてくれたりと、それだけで気分の良い1日 になることがあった。

 当時交際相手だったイタリア人の、今は亡き叔父から「イタリア人の家族になるんだからイタリア語を勉強して試験を受けなさい」とクリスマスの集まりの時に言われて、翌年ローマ日本人学校で、実用イタリア語検定3級を受験した。会場はちょっと不便な場所にあったが、日本人の穏やかな年配の先生が試験監督で親切だったのを覚えている。

 試験を受けたことで、何も取り柄がなかった私に「残るもの」が出来た気がする。

 その後、彼と結婚し日本に帰国して出産し、実用イタリア語検定から遠ざかっていたが、この体験記を書いているうちに正しいイタリア語を学習し直すという気が出てきた。

 子育てが少し落ち着いたら1級合格を目標に今から勉強しようと決めた私である。

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