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みんなの受験体験談

伊検1級と全国通訳案内士ダブル合格まで

K.M.
2018年第47回1級、全国通訳案内士合格Le Ali 31号

 まさか1本のイタリア映画を観たことでイタリア語とこんなに長いお付き合いになるとは思ってもいませんでした。ジュゼッペ・トルナトーレ監督の『ニュー・シネマ・パラダイス(Nuovo Cinema Paradiso)』をビデオで観たのは1999年、今から21年前の25歳の時。ストーリー、音楽、とにかく全てに感動し、そしてイタリア語の響きがとても心地よくイタリア語が勉強してみたくなりました。まずNHKのイタリア語講座で勉強開始、そのうち週1回のイタリア語教室に通うようになり、イタリア語の勉強に夢中になりました。そして2002年、クラスの友人とイタリア旅行へ。バールやリストランテで自分のイタリア語が通じることがとても嬉しく、何より現地の人達の優しさに感動しすっかりイタリアが大好きになりました。その後、仕事の忙しさでレッスンをやめ数年経ちましたが、やはりもう一度勉強がしたいと2009年に思い切ってフィレンツェに留学しました。初めは1か月間の短期留学でしたが、あまりにも楽しく、帰国してすぐにビザを取りイタリアに戻りました。留学中は辞書を片手に大家さんやイタリア人の友人達と毎日いっぱいお喋りをし、以前より格段に会話ができるようになっていきました。半年後、後ろ髪を引かれる思いで日本に帰国しましたが、イタリアに戻りたいと悶々とした日々を過ごしていました。

 そうした頃、友人の紹介で簡単な通訳を引き受けるようになり、日本にいながらイタリアを感じられることが嬉しく、やはりイタリアに関わった仕事をしたいと思い始めました。友人がフランス語の通訳案内士をしていたので資格について知り、私も挑戦することにしました。イタリア語を含め4教科(現在は5教科)を勉強するというのは大変でしたが2年目の2014年に一次試験に合格することが出来ました。しかし二次の口述試験で不合格……。翌年は受験できずに2016年度は一次不合格、2017年には2度目となる二次試験へ。その間に2度の短期留学、また長期で生活をする機会もあったので今度こそは大丈夫、と思っていたのに緊張のあまり簡単な単語すら出ずに頭が真っ白になり黙り込んでしまい不合格でした。(写真はフィレンツェでの初めてのサッカー観戦)

 この年には実用イタリア語検定も受験しました。2005年に力試しで受けた3級に合格してからは一度も受験していませんでしたが、英語以外の他言語も検定1級取得で通訳案内士の語学試験免除となってきていたので、今後の為にもと無謀にも2級を飛ばしての1級受験でした。検定の過去問題集で勉強しましたが結果は一次不合格。イタリア語検定不合格はもちろん、通訳案内士のニ次試験に再び落ちたことが本当に情けなく、語学学校の会話クラスを受講することにしました。また、作文レッスンがあることを知りそちらも受講することに。作文レッスンでは出されたお題に沿って自宅で作文し、翌週のレッスンで先生と一緒に作文を読みながら添削をしてもらうというものでした。毎回、難しいお題に四苦八苦し、やっと書き上げた作文も次のレッスンでは先生から厳しくダメ出しされ作文用紙は修正で赤字だらけに。でも、そのお陰で新しい単語や表現をどんどんと身に着けることができ、イタリア語での作文の書き方というのも少しずつ分かるようになっていきました。(写真はSagra della bistecca<ステーキのお祭り>)

 文法は中・上級対応の文法書を使い復習しました。翌2018年に試験に再チャレンジ。イタリア語検定は2級も併願で受け、結果は1級・2級共に合格、一次では驚いたことに1級、2級共に作文が満点の20点でした! そして通訳案内士試験もやっと合格! この時の二次試験では不思議といつもほど緊張もせずにすらすらと言葉が出てきました。これまで極度に緊張していたのはやはり準備・力不足で自信がなかったからだと思います。二次試験の逐次通訳ではどんなお題でも訳せるようにと、ニュースを観ながらアナウンサーの日本語をメモしイタリア語に訳すということを続けていたので焦らずに訳すことが出来ました。

 試験の為に真剣に勉強した1年間はもちろんですが、やはり20年の間に沢山のイタリア映画を観て、イタリア語の書物を読んで少しずつ語彙を増やしてきたことも2つの試験の合格に繋がったと思います。資格取得後はガイドとして活動することができ更にお仕事の幅も広がりました。何より、試験のお陰で真剣にイタリア語を勉強することができ、その勉強が仕事の中で今とても生かされています。

 今は少人数から大人数のグループまで様々なお客様をご案内させて頂いていますが、まだまだ駆け出し勉強中。思うようなガイディングや通訳が出来なくて落ち込むこともありますがお客様に喜んで頂けるとまた頑張ろうという気持ちが湧いてきます。Chi va piano, va sano e va lontano.「ゆっくり行く人は安全に遠くまで行く」、イタリア語を習い始めた頃に知った好きな諺の一つです。今この場所に来るまで長い時間がかかりましたが、これからも自分のペースでゆっくり楽しみながらイタリア語と付き合っていこうと思います。(写真はフィレンツェのメルカート)

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