みんなの受験体験談
スペイン語経由イタリア語まで半世紀
- 小林 由紀子
- 2022年55回3級合格Le Ali 37号
※ここに掲載した小林様のお話しが小学館「女性セブン」の2023年10月5日号"「60才からの資格」9人の合格体験記"に詳しく紹介されました。
記事の本文は「マネーポストWEB」に転載されておりますので、ぜひご覧ください。
10代の頃から「これからは英語以外にもう一か国語が必要」と勝手に思い込んでいました。英語は好きで高校時代にもかなりできたのです。しかしながらある日NHKラジオの語学番組を聴いていてスペイン語もいいなと思い、日本で初級から上級まで終えてマドリード大学に留学し、2年数か月スペインに滞在した次第です。スペイン人の早口にも3か月で慣れ、「文学」の教授から指定された山ほどの本を読まなければならなかったこと、学生寮が生活の場であったことなどが必然的に語彙力、会話力を高めたのでしょう。仕事も英語かスペイン語が必要とされる職場を選びました。でも実をいうとスペイン語を始めたときイタリア語にも惹かれていたのです。英語ともスペイン語とも違う、何か音楽的な響きの心地良さでしょうか。
さて、仕事からも離れ時間もできると、イタリア語への思い断ちがたく、67歳でイタリア語を学び始めました。もともと年のことはあまり考えず、その時どきでやりたいことをやる性格なのです。
2021年12月末まで日伊協会で学んでいましたが、その年末に頭蓋骨と脳の間に血液が貯留する病気になり、受診後即日手術となりました。完治後、現在は自宅で自習といったところです。一応文法は接続法まで終了しているので、あとは自分の努力次第ですね。そんななか、勇気を出して2022年秋に実用イタリア語検定3級を受けてみたところ、なんと合格しました。本人もびっくりです。過去問をひたすら解いて暑い夏を過ごしたかいがありました。準2級のことはまだ考えられないので、今はとにかく復習に充てています。
イタリア語とスペイン語は似ていてやりやすいと思われがちですが、やはり異なるふたつの言語と考えた方がよいです。文法的にはかなり類似しているところがあっても、違うのです。ただ、似ている単語も多々あるのでそんなときは得した気分になったりします。初期のころはついスペイン語と混同することもたびたびでしたが、やっとその違いを楽しむ余裕もでてきました。自分に今、不足しているのは語彙なので、今後は辞書を片手に原書を読むことが必要かもしれません。
年より若く見えると時々言われますが(話半分として)、それはイタリア語学習の効用に違いありません。1月に75歳になりましたけれど「老後はわずか一日でも楽しまないでむなしく過ごすことは惜しまねばならぬ」と貝原益軒の言うように、私も心楽しく今後もイタリア語を学び続けたいと思っています。