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みんなの受験体験談

定年後もわくわく、エネルギーに

大鳥 章子
2023年56回4級合格Le Ali 38号

 2022年、昨年の春。「1年後には退職。さあ、何をして楽しもうかなあ?」と考え始めました。「ヨガかなあ、もっと時間を選ばずに、しかも頭と心を動かすものはないかな」。その時、机の前の本棚に、息子が大学時代の第二外国語でイタリア語を選択して購人したテキストがそのままになっていました。手に取ってみると、教材は「食べ物・食事」と「バカンス」など、とても楽しいものでした。30年以上も前、大学の西洋史学科で学んでいた私は、一時期、古代ローマ史を専攻しようと思ったこともありましたが、ラテン語を1年間学んだものの、とても難しくてあきらめてしまいました。第二外国語は、ドイツ語。教材は「哲学」。あまり熱心に取り組むことはしませんでした。今思うと、もったいないことをしたものです。今度こそ、時間をかけて、楽しみながらやってみよう! 思い切ってイタリア語に決めました。

 さあ、何を使って勉強しようか? 初級文法書、リスニング教材、手あたり次第に購入し、やがて、どのくらいできているのかな、と思うようになりました。そこで手に取ったのが、『イタリア語検定4・5級突破(三修社)』、次は過去問題集。やればやるほど手ごたえあり! ではありませんか! 正直、その頃の愛読書はと聞かれたら、「実用イタリア語検定本」。でも、すぐに「本物のイタリア語を聞きたい!」と思うようになりました。ネットで検索したら、「大阪日伊学院」を見つけ、すぐに電話をしました。代表のNさんが丁寧に応対してくださり、 お試し授業を受けさせていただけることになりました。授業が始まる前に、担当のG先生が面接してくださり、「何を使って勉強しているの?」と聞かれました。私が「検定本!」と答えた時の先生のにっこりしたお顔を今でも忘れません(本当は奇妙だったに違いありません)。さて授業は……「面白い!のひと言」。すぐさま入会させていただきました。

 それからは、授業が楽しみで待ち遠しく、先生の質問にうまく答えられたら、先生は“Brava!” “Perfetto!”と言ってくれます。60歳半ばまで生きてきて、こんなにストレートにほめてもらうことなんてほとんどありませんでした。うれしいではありませんか! 歳を取るにつれて自己肯定感が薄れていく毎日の中で元気をたくさんいただいています。大げさに言えば、生きるエネルギーですね。

 そして、その年の10月、無謀にも5級に挑戦! 久しぶりの受験勉強は楽しかったです。合格した時は、本当にうれしかったです。さあ、次は4級です。大好きな検定本と週1回の授業! リスニング対策は全く不足のまま、2023年3月のIBT方式の試験を受けました。幸運だったのは、長文読解の内容が、小さいときに大好きだった「トッポジージョ」。びっくりしました。楽しみながら試験を受けることができて、合格のメールをもらうことができました。

 今は、「3級合格を目指して頑張っています!」と言いたいところですが、作文のみならず、内容が格段に難しくなっていることやまだ現役でフルタイムの勤務についているので、なかなかまとまって勉強する時間が取れないのが現実です。毎朝の通勤時間に単語帳を見る、毎日必ずイタリア語の文章を書く、文法事項を一つ確認する、寝る前に『耳が喜ぶイタリア語(三修社)』を聞くことを日課にしています。2023年10月の検定を受験しますが、今回はお試しです。

 歳のせいにしますが、新しい内容がなかなか覚えられません。そのため、手持ちの「検定本」を何度やっても、毎回新鮮な、つまりわからないところだらけ、聞き取れないところだらけでドキドキしています。わからないことだらけのイタリア語の学習に、毎回、ドキドキ!です。当然、楽しいドキドキです。同じことを繰り返す生活の中に、新しい世界をくれた、同じクラスで一緒に勉強してくださっているRさんに感謝! お世話ばかりかけているNさんにも感謝! もちろん、G先生にも感謝!

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